強化パルプモールドの研究開発に向けて
木材パルプの主な用途は紙類ですが、ファブリックや家具、あるいはサイディングなどの建築材料としても利用されています。今後、これらの用途全てをハウジングに活かすにはどうすれば良いのか?
そのソリューションの一つが、強化パルプモールド。具体的には、パルプに強化剤を溶融することによって、金属にも勝る強度と耐久性と、3Dプリンターや金型による自由な成形が可能な粘性とを兼ね備えた素材です。
例えば、航空機からゴルフシャフトなどのスポーツ用品に至るまで幅広く広く使われている炭素繊維も、立体成形モールドとして優れた素材であり、米国ボストンに本社を構えるMarkforged社のカーボンファイバー3Dプリンターは「世界で最も革新的な3Dプリンター」ともいわています。ただ、その炭素繊維そのものについて言えば、今でこそ日本発の合成繊維ポリエステル由来のPAN系の生産使用量が圧倒的ですが、元々はレーヨン由来の新素材でした。このレーヨンも木材パルプから採取する植物原料に薬品加工を施して作られる天然原料由来の再生繊維。 つまり、レーヨン系の炭素繊維であれば、私たちが目指す強化パルプ材の素材候補にもなりうるのです。
一方、日本では静岡県富士市の行政が中心となって環境負荷の少ない新素材CNF(セルロースナノファイバー)を活かした製品開発の取り組みがなされ、東洋レヂンなど各社がこれに賛同して実用化に向けた活動を開始するなど、さまざまな試みがなされています。
ただ、我が国では多くの企業や研究機関を結集して巨大産業分野を育成する素地が乏しいというのが現状です。これからは技術革新が想像を絶するスピードで現実化していく時代。日本の企業や研究機関も、その規模や従来実績に関係なく、優れた先端技術や開発コンセプトを共有して協力し合うことによって、より迅速かつ有効な経済産業発展に尽くしていくことが国際的発展においても必要不可欠でしょう。
もともと日本は、パルプ製造技術やその応用技術産業において、世界でも群を抜いた歴史を持つ先進国。しかも、ここに来て急速に劇的な新技術を開発する企業や研究機関が次々と名乗りをあげています。私たちはそうした先端技術開発はもちろんのこと、パルプ製造加工における既存の技術や製法をPLANZZoモールドの開発に活かしていただくことを願い、関連する各社・各研究機関にご協力ご支援を仰いでいます。
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